《5月29日》


@松本城(国宝)
 車の旅で気楽なのは、時間の制限がないこと。
 朝早く起きて、夜遅く寝られる。
 そんなわけで、
 朝は早めに起きて城の周りの公園を散策、
 開門を待って入城。
 
 掘に浮かぶようにして建つ姿が凛々しい松本城。
 若水(城郭解説委員?)が居ないので
 詳細は解らないのだが、
 素人目に見ても、
 これは凄いと思うだけの存在感がある。
 「うん、これは凄い。さすが国宝。」
 内部の急階段をはじめ、天井の低さなどなど、
 【本来の城の姿】がよく解る。
 解説員の人の開設も至極丁寧でした。

A旧開智学校(国重文)&司祭館
  八角塔がシンボリックな擬洋風建築。
  これが小学校というのだから、驚きだ。
  文明開化と共に教育に力を入れてきた県だけに、
  その教育への思い入れが、
  形になったものだろう。
  しかも、その建築費の大半(7割)が、
  住民の戸別献金だというのだから恐れ入る。
  内部は一部だけ復元されて元の形になっているが、
  ほとんどが資料館的に簡素化されてしまっている。
  建築的には、
  外観ぐらいしか見られる物がないのは悲しい。 
  望楼にも登れず、残念である。
  問い面にある司祭館も同様、
  折角の建築物であるのに、
  暖炉は埋められ、家具が運び出され、
  生活の匂いがしてこない。
  漆喰の白い壁ばかり見るというのは、
  味気ないものなのだ。勿体ない。

B白骨温泉泡の湯本館
  温泉好きには有名な、白骨温泉。
  その白い湯の大きな露天風呂を雑誌で見るたび、
  「温泉に行きたいなぁ、と思うものだ。」
  山深い場所柄、なかなか行きにくいところも、
  風情を重視する温泉好きにはたまらない。(笑)
  松本より谷を巡る国道(と言っても細いんだこれが)をひた走り、
  更に枝道に逸れて暫く走らなければ、この温泉には着かない。


  MDをエンドレスに設定し、カーステレオからガンガン流す。
  川沿いの国道は景色が良く、
  堰止め湖(ダム)の緑の湖面や
  カッキリと三角な山々が織りなす情景は素晴らしい。
  などと考えていたら道を1本間違え、
  気が付いたら乗鞍高原に着いていた。
  オイオイ。大幅なタイムロスだ。
  大急ぎで上高地・乗鞍スーパー林道に乗り換え、白骨へ急ぐ。
  有料とはいえ、穴だらけのひどい道だった。(T_T)


  泡ノ湯は良い。
  かなりぬるいと感じるが、入る程に暖まる。
  硫黄の匂いがキツイいので、
  「ああ、俺、温泉にいるんだなぁ〜」と、
  当たり前だけどなんだかちょっと嬉しい。(笑)
  さすがに白骨は有名なだけあって、ひっきりなしに人が来ていた。
  泡ノ湯の露天も混浴(水着不可)なのだが、
  若い人も(自分も若いが)みんな結構平気で入っていた。
  男女別の内湯も、天井も高く、湯船も高く、良い。
  小さな露天もある。
  あまり込む時間は割けたかったので、
  朝早く来たかったが、上記の通りのロスをしたので到着は10:50。
  ゆっくりしたかったが、他の予定もあるので小一時間で終了。
  白骨のバス停付近は観光バスなどで凄い混雑だった。
  今度は泊まりで来たい。でも1泊2万円台はとてもとても。(T_T)

C飛騨高山市街
  高山は飯がうまい。
  飛騨牛の串焼きに、団子、笹寿司、食べる物には事欠かない。
  昨年は1泊してあらかた観光を済ませていたこともあり、
  今回は昼食&食後の散策という軽めの観光。
  食べたかったのは飛騨牛にぎり寿司or飛騨牛の焼き肉。
  予算は宿代を浮かせた分の5000円を用意していたが、
  お目当ての料理屋(前回食べて美味しかったところなど)が、
  全休業。(T_T)またかよ。
  仕方がないので、ちょっと前にチェックしていた、
  「飛騨牛てんむす」「牛玉」を買いに走る。
  うーん。「てんむす」はいまいち。
  牛玉はいわゆる「たこ焼き」の蛸の替わりに飛騨牛を入れたもの。
  こっちは結構アタリ。街を散策しながら頂きました。
  その他、本陣前にあるお気に入りの団子屋で団子を、
  さんまち通りの牛串屋で牛串を、食い道楽。(^^)
  食べ物が美味しいところは、いつきてもいいなぁと。
  簡単なおみやげ物も買いやすいので好きな街です。
  また行きたい。来るたびにそう思うのは相性がいいからかな?

D世界のアンティック木の国館
  飛騨高山とはサッパリ関係のない、
  観光地にありがちの微妙なスポット。
  それを敢えて紹介するのは、
  それなりの理由があります。
  ここでのお目当ては【ウランガラス】。
  第一次大戦〜第二次大戦の
  戦間期だけに作られたという工芸品。
  私が好きな理由は、
  【ブラックライトを当てると光る】ということ。
  まぁ、もともとの色合いも
  淡い黄色〜グリーンで、
  かなり綺麗な色をしています。
  それにライトを当てると、
  鮮やかなグリーンに蛍光するんです。
  そんなウランガラスの工芸品を、
  かなりの数集めてある展示は圧巻。
  キャンディー皿や果物皿、花瓶、グラス、、、それぞれの細工はそれほどでもないものが大半ですが、
  中に数点、逸品が隠れています。その中でも別格なのが、写真の皿。
  水を入れて花を散らすものらしいのだが、その細工の細かさは、驚きです。
  笛を吹く少女の足下に妖精が寝そべり、更に兎が戯れるという神秘的な構図。
  これだけのためにでも、訪れる価値はあると思います。  

Fニコイ洞・百間の滝
  この旅の目的は2つ。
  1つ目が歴史建築探訪(世界遺産・城・洋館・街道)
  2つ目が洞窟探検
  飛騨地方にはかなりの数の洞窟が分布しているのだ。
  昨年の飛騨大鍾乳洞(観光洞)のあと、
  久々に「自然洞に潜りたい!」と思うようになった。
  これでも中学〜高校は洞窟探検でならした(?)私なので、
  洞穴ガイドを引っ張り出して、
  一人で回れそうな「比較的安全な洞窟」を、
  いくつかピックアップしてこの旅に臨んだのである。(笑)
  その手始めが、この洞窟。

  何しろ、アバウトすぎる略地図しか無い状況なので、
  地形図(1:25000)&集落での聞き込みで割り出すしかない。
  ガイドには「観光化の予定有り」と書かれていたので、
  「地元の集落まで行けば、案内板ぐらい出ているだろう。」
  などとタカをくくっていた。それがそもそもの大間違い。
  まず、集落へ向かう道がとんでもない斜度&狭隘路。
  コロコロした軽自動車の馬力では心許ない。
  オロオロしながら運転している所に第一村人発見!
  「すいませ〜ん。このへんに【ニコイ洞】っていう洞窟ありますか〜。」
  「なんじゃそら?」
  どうやら御存知ない様子。
  観光化云々という話をしていると、そういえばこの奥になんとか、
  という証言を確保。
  とにかく日没前に到着しないと危ないので先を急ぐ。(15:45)
  次の集落で捕まえた人が大当たり。
  「ああ、なんだか大学のお偉いさんを案内したことあるな。」とのこと。
  農作業を中断して貰い、
  そのまま車に同乗頂いて洞窟へGO!
  途中、
  【ダム建設作業中につき一般車両通行止め】
  なんていう怪しい看板(というかゲート)を見つけるが、
  無視して突破敢行。

  途中で車を降り、藪をこいだ先にあったのは、
  かなり深い谷(百メートル近い?)に掛かる朽ちかけた鉄橋。
  歩くだけでも心なしか揺れるその鉄橋は、
  落石により手摺りの一部が破損していてかなり怖い。
  (私は高所恐怖症なり)
  観光化に向かう途中でバブルが弾け、頓挫したらしい。
  洞窟に向かうトンネル(連絡道)まで掘りあげておきながら、
  勿体ないといえば勿体ない。
  (しかし、現在の各地の観光洞窟の経営状況を考えると
   中断して良かったのかもとも思うが)
  また、この谷には「百間の滝」と呼ばれる滝があり、
  かなりの落差と水量を持つ名爆である。これはかなりの圧巻。

  畑仕事の途中だった古老を一旦送り届け、
  装備(といってもタオルとヘッドライトのみ)を整えて洞窟へ。
  なにしろ独りでの挑戦である、慎重を期さないと危ない。
  「危なかったら帰ろう」とブツブツ呟きながら、連絡道に突入。
  独りで暗闇に居るというだけで、怖い。
  しかも、ここに私が居ることを知っているのは、
  数キロ離れた古老のみ。
  「万が一、1時間して帰ってこなかったら警察に。」
  とは言っておいたものの、さすがにずんずん進める勇気はない。
  トンネルの洞口こそ整備され、
  下の集落の人々の置きみやげ(漬物樽)があるものの、
  少し進むだけで岩盤剥き出しの荒々しい洞壁となる。
  水も滴り、恐がりの私はかなりの後悔に嘖まれながらも意地で進む。

  連絡道を抜けると、先程の滝の上の小川に出る。
  「そこから遊歩道を進むと洞口がある」との話だったが、
  洞口目前に倒木と地滑りがあり、洞口にはたどり着けず。
  「散々な前置きをしておいてそれかよ」と思うだろうが、
  これだって私レベルでは大まじめの大冒険なのだ。(爆)

  日没も近くなり、そこで引き返しを決定。
  帰りしなに、百間の滝をパチリ。
  「たたら製鉄」と目される鉱床跡を横目で見つつ、
  狭隘路を下り始めたところで異変が!
  『ダンプが2台!!』
  ガードレールのない狭隘路を待避場所まで戻り、
  (死ぬかと思った)
  冷や汗をかきつつ、無事にやり過ごす。
  古老に礼を言い、暮れかけた集落を後にした。

観光開発のなれの果て 連絡道洞口
連絡洞内・未整備の状況がよく解る 無冠の瀑布

G國盗りドライブ&温泉
  ここまで来てみて思ったこと。
  「割と旅行中は体力的にも無茶できるんだな。」
  旅程的にはギリギリの時間なのだけれど、
  「俺、北陸三県(石川・富山・福井)に足を踏み入れたことがない」
  と、地図を睨めっこして突然思った。
  現在地は岐阜の北部。無理をすれば富山の領土がとれる。
  そう思うが早いか、一路北へ向けて車を走らせていた。
  (旅程では南へ向かうはず)
  国道とは名ばかりの狭隘路(事実、交互通行の箇所もある)を、
  高山本線に沿ってひたすら北上する。
  狭隘路は改修が進み、至る所に大規模なトンネルがある。
  トンネル内はほぼ直線で、当然のように地元車両は速度超過。
  それに併せると130〜150キロは平気で出るから恐ろしい。
  そして、富山県内にて踵を返し、一旦は高山市内まで戻る。
  これから向かう先は白川郷。
  西に向かう道路もあることはあるが、峠越えの上に落石で通行止め。
  (後に聞くところによればこのルートはスピードが出せず、
   結果的に遠回りルートが正解だったとわかる。地図は当てにならない。)
  やむを得ず途中で高速などにも乗り(清見〜荘川)、爆走。
  夕飯も食わずに走り続け、夜(21:00)に白川郷に到着。
  ここで見つけたのが、
【平瀬温泉共同浴場】いわゆる銭湯である。
  白骨温泉から車内後部にぶら下げてあるタオル(硫黄臭い)をひっさげ、
  ステンレスの大浴槽(これはこれで珍しい)にて足を伸ばす。
  疲れが足の先から抜けていく感じがする。
  ここで、高山駅で買っておいた駅弁「笹寿司」を食べる。
  駅弁は好きなときに食べられるから重宝する。
  友人にメールを送り、ちょっと休んで再出発。
  目的地は富山県五箇山の平村。
  明日のルートは五箇山から郡上八幡、中津川に抜けるルート。
  朝早くから観光するには、遠くから徐々に下りてくる方が都合がいい。
  秘境秘境と言われる白川郷&五箇山だけれど、
  世界遺産に登録されたからかどうかは知らないが、
  道がものすごく良い。
  高速道路並とは行かないまでも、常時100キロ超で走れる。
  予想より早く富山県内に入ることが出来た。

H中江の霊水&道の駅たいら
  旅の中で湧き水に出会えると、なんだか嬉しくなる。
  富山には名水が多いとは聞いていたけれど、
  まさか宿泊地の近くにあるとは思っていなかった。
  とりあえずは宿泊地の確認が先と言うことで、
  一旦は通り過ぎたものの、
  案外近かったので、
  時間もあることだし、戻ってみることにした。
  簡単な社は池に半ば浮かぶ形を取り、
  すっかり日が落ちていたとはいえ、なかなかの風情でした。
  古式ゆかしい作法で御手水を取り、喉を潤す。
  味こそわからないものの(私にそんな舌はない)、
  美味しかったと思います。
  
  そして道の駅での2泊目。
  とりあえず経過を報告し、本日の成果と明日の予定を確認。
  盛りだくさんの1日でなかなか楽しかったと思いつつ。
  昨日は電灯の真下で寝にくかったのと、
  朝起きたら他の車に囲まれて居て焦ったので、
  少し離れた場所に停めるなどして安眠を得たのでありました。


【30日へ】