《5月31日》


@馬籠宿
  今日はとうとう単独行最終日。
  社会人ともなれば、そうそう長い休みも取れず、
  こういった旅行も貴重だなぁと、つくづく思う。
  朝、そんなことをぼんやり考えながら歯を磨き、
  木曽路の入口、馬籠宿を目指す。

  やはり今日も雨。
  風情のある宿場町にも雨が似合う。
  割と朝も早いせいか(8:15)、ほとんどの店が開店前。
  観光客も私一人。
  明け切る前の風情がまた、いい。

  馬籠は写真の通り、敷石で整備されている。
  昔の木曽路がそうだったとは思えないけれど、
  少なくともアスファルトよりは数段良い。
  枡形の進入路など、
  防衛としての機能もしっかりと残っている。
  宿の上部に高札が再現されており、
  【キリシタン禁制】や【直訴の禁止】
  などの罰則が書かれているのには笑わせて貰いました。

A妻籠宿
  ここで、観光バスの団体に追いつかれる。(T_T)
  『木曽路はすべて山の中である。』とは
  島崎藤村の代表作である『夜明け前』より。
  本陣を訪ねれば藤村の兄が当主だったと言うし、
  文学に没頭できた経済力に納得してみたり。
  こちらは馬籠に比べればそれほど整備されている風でもなく、
  ところどころで空き家とおぼしき建物があったりもする。
  気になったのは、街道から逸れたところにあった【ギンモクセイ】。
  金木犀と比べると、香りに清々しさがあって爽やかな印象。
  天然記念物(国・県・村の別は不明)というだけあって、堂々としたもの。
  花の見頃ともなれば、さぞや芳しい香りなのだろう。
  時期でないのが少し残念であった。

B奈良井宿
  木曽路で宿場の風情が色濃く残るのは、
  今回訪れた「馬籠」「妻籠」「奈良井」の3宿。
  他はどうやらそれほどでもなさそうだという判断で、
  スルーさせて頂きました(ごめんなさい)。
  
  奈良井にはお昼チョイ前(11:00)に到着。
  ここでは建築物が比較的状態良く残っているようなので、
  中村邸などの町屋(?)を、若干観光する。
  農家ともまた趣が違い、高い天井と張り出した庇など、
  なかなか見るべき物も多い。

  そんななか、私を驚かせたのは【飛び交う燕の数】である。
  妻籠などでも、それなりに燕はいた。
  しかしこの宿は尋常ではない。
  我が物顔で、文字通り飛び交っているのだ。
  猿頭(庇を支える腕木)にちょこんと留まっている様は、
  なかなか凛々しくて絵になる。なのでパチリ。
  なかにはあふれんばかりに雛が「ぴーちく」やっている巣もあり、
  写真を撮ろうとカメラを覗いていたら、、、、
  「燕がそんなに珍しいかね」と、土産物屋の女将に声をかけられた。
  そう言いながらも、女将もどことなく嬉しそうだった。

C木曽山脈越え&温泉なんぞ、そして帰宅。
  予定より数時間単位で余裕が出来たので、
  「このまますんなり岡谷に出るのは勿体ない。」
  という貧乏性が発病。
  「この山超えれば、すぐ伊那じゃん。」
  と、軽はずみに考えたのが運の尽き。
  道路地図とは不思議なもので、
  高低差や距離感は思いっきりぼやける。
  脇道に逸れたのが私一台だけだったのにも不審に思わず、
  ガンガン突っ込んだ後にひどく後悔した。
  「ダム工事やってる、、、、」
  再び、ダンプとすれ違う狭隘悪路と戦う羽目に。
  しかも木曽山脈を越える峠道(権兵衛峠)である。
  どうやら新たな道を付け替える最中らしく、
  旧道は荒れ放題の砂利道の落石道。
  急カーブの「NO.標識」のカウント数字が尋常ではなく、
  道半ばにして「いやーな雰囲気」に突入する。
  もちろん引き返す時間など無い。(T_T)
  
「なんでこんな道が国道なんだ!!」
  というこの旅で何度叫んだか知らない言葉が口をつく。
  (もちろん3桁国道なんで県道と似たようなもんですが)

  何度か死にそうになりながらようやく伊那谷側に到着。
  苦労の甲斐あって広大な國盗り領土を確保する。
  ここで時間を見ると、まだ余裕がある。
  ふと見ると町営温泉があるでないか。
  ということで、
  
【まほら伊那羽広温泉みはらしの湯】(舌噛みそう)に到着。
  けっこう高い位置にあるので、その名の通り見晴らしはよい。
  ブレーキを踏みまくって疲れた足を解す。極楽だ。

  やはり小一時間のんびりしたが、まだまだ時間はある。
  「これなら駒ヶ根まで行けるか??」という野心再発。
  駒ヶ根を踏めば、昨晩の飯田遠征に地続きで領土がとれる。
  「これは行くしかない!」
  最後の気力を振り絞って駒ヶ根まで下道を走る。

  そして、最後の最後。八王子までの帰路である。
  駒ヶ根IC突入(14:30)−八王子IC脱出(16:00)。
  途中、談合坂で20−30分食事休憩をとった、ハズ。
  どうやら取り締まりには引っ掛からなかった模様。
  罰金葉書が来なかったので良しとしよう。(笑)
  
  足掛け4日の走行距離1200キロ+α。
  ミニマムな車で良く走ったなぁと思いつつ。
  愛着を感じつつ八王子でレンタカーを返却。
  店員曰く
   
『1200キロって、いったいドコ行ってきたんですか!?』

  土産物でパンパンになったバックをひっさげて、
  家路へ向かったのでした。
  こういう旅も面白いもんだね。(笑)


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