恩田の休日@
★☆古賀&渡瀬遊水池☆★

◎日時:2002.3.20
◎行程:
  越谷→古賀→日赤入口バス停→古賀駅→古賀歴史博物館
   →三国橋→下流越流堤→ホフマン窯→第二調節池
   →谷中湖→柳生→越谷


私は、ひょいとできてしまった休日を見つけると
いきなりどこかへ出掛けたくなることがある
日帰りであまり疲れなさそうでいて
割と楽しめるところを探してみる


すると
これが意外にもたくさんあるものなのだ


近場とは言えないものの
ちょっと足を伸ばせば届くという微妙な意識距離
そんなお気に入りの場所
貴方はいくつありますか?


@古賀歴史博物館
 古賀八万石の城下町、古賀。
 とは言っても、街並みがたくさん残るという訳でもない。
 しかし、よく見るとそれなりの面影があり、
 街歩きをすると意外に退屈しない。
 特に、春の花の時期ともなると、
 梅や桜などがあちこちを彩るため、
 街全体が華やかでとても楽しい。

 古賀を訪れたのは今回で2度目。
 最初は国盗りの関係で訪れた街だが、
 城跡も無い街なんて、、、と思ったのは大間違いだった。
 それが、この歴史博物館。
 歴史博物館は「1回行ったから、もういいや」と言われるぐらい、
 万人の評価が著しく低い。
 正直私も、歴史博物館に2度訪れるのは初めてだ。
 ということで、私の関心は歴史の展示ではない。

 【ストリートオルガン】
 これが私のお目当て。
 私は管楽器ではオルガンに目がない。
 オルガンの暖かい空気は、人の歌に似た暖かさがある。
 教会にオルガンが欠かせないのは、
 オルガンを神天使の歌声に重ねているからというのは、
 妙にしっくり納得できると、思う。
 ああ、能書きが長くなった。(^^ゞ
 ストリートオルガンは、いわば自動演奏の楽器だ。
 楽譜を入れてハンドルを回せば誰にでも扱える。
 そして何より、
 その場で実際に楽器が鳴るというところが良い。
 録音の借り物の音ではなくて、
 まごう事なき楽器の音色が、とても暖かい。

 オルゴールは単一の音色だけれど、
 ストリートオルガンの【からくり】は、
 構造を複雑にすれば、
 ドラムやシンバルまで組み込むことができる。
 ストリートと言うからには野外で演奏する楽器だ。
 サーカス(曲芸や大道芸)やカーニバル(祭り)、バザール(市)、
 楽しそうに弾むその音色は、喧噪や雑踏がよく似合う。
 博物館のホールでの演奏はちょっと窮屈だけれど、
 どうせ遊水池に行くならついでにと、
 私はこの寄り道を楽しみにしている。
 300円ぽっちの入館料は、安い。
 ちなみに、オランダ製の特注品だそうです。

歴史博物館エントランス&枝垂れ桜 ストリートオルガン

A越流堤(下流)
 立ち入り禁止区域。(爆)
 土手を歩いていたら、
 突如として現れた広大な空地。
 飛行場とまでは行かないけれど、
 ずっと真っ直ぐに伸びる
 アスファルトの土手。
 微妙に勾配の付いた両肩の上に、
 スッと伸びる直線の舞台。
 あまりの広さ、
 あまりの開放感、
 渡瀬遊水池や原野の眺望に、
 足下の堤でかっきりと切り分けられた青空と
 悠然と飛んで行く飛行機&雲。
 
 気が付いたら、
 ステップを踏んで歌い出していました。(馬鹿)
 でもね、本ッ当に気持ちがいい。
 思いっきり声を出して歌ったの、何年ぶりだろう。
 訓練の賜物で声量が多い私は、
 普通のカラオケBOX程度じゃ思い切り歌えない。
 (BOX程度ならマイク無しでOKだってーの)
 人目を気にしないで思いっきり歌えるなんて、
 立ち入り禁止区域じゃないと到底できない。
 お腹が痛くなるほど思いっきり歌ったら、
 憑き物が落ちたみたいに体が軽くなりました。(^^)

Bホフマン窯
 (旧下野煉瓦製造会社)

 越流堤を歩いているときに、
 なんだか見たことのある煙突が見えた。
 何だろう?
 何だろう?
 と、頭の中を検索していたら、
 「あっ、あれって産業近代化遺産じゃん!」
 そうだよどうだよそうだよ、
 見たい見たいと思ってた煉瓦窯って、
 確かこの辺にあるって書いてあったじゃないか!
 しかし問題が一つ。
 「渡良瀬川挟んでるんだよな〜
  対岸にはどーすりゃ渡れるんだ?」
 遠回りを覚悟してしばらく歩いたら橋がありました。
 しかし、
 見つけて・通り過ぎて・遙か後方にある煙突。
 しかも、橋を渡ってひきかえした所で、
 たどり着ける道があるのかどうかも疑問。
 橋の先は地図上では湿地帯だ。(T_T)
 「ええい、行かずに諦めるのは嫌じゃ。
 いってまえ。」とのことで逡巡に決着。

 建築好き(それも現代ではなく近代)の血が騒ぐ。
 なんとかたどり着いて見ると、そこは乗馬クラブの敷地。
 開けっ放しの門から勝手に侵入。(爆)
 煉瓦造りの堂々とした窯がドデンと鎮座している。
 一見して寺社建築にも見えそうで、
 それでいて圧倒される煉瓦の存在感は、
 妙な感覚として映る。
 残念ながら修復工事中で(なにせ重要文化財)、
 中は見られませんでした。
 修復が終わることにもう一度見に行きます。
 ホフマン窯の詳しい説明は、
 中公文庫「近代化遺産を歩く」に譲ります。
 表紙の写真も、このホフマン窯ですよ。

C夕景の渡瀬遊水池
 朝起きたのが遅かったので、
 昼寝に出掛けたはずの目的地に着いたのは、
 もう16時になろうかという頃でした。
 谷中湖の真ん中に浮かぶ島には、
 ちょっとした休憩所と柳の並木がある。
 細い橋で結ばれた小さな空間、
 危ういけれど絶妙なバランスで、
 湖の青(あお)と島土の茶と柳の緑、
 更に空の漠(アヲ)と西日の顕(シロ)とが、
 均衡を保っている。
 この遊水池の図面を引いたのは誰なんだろう、
 そう思わせるぐらい、
 この島の景色の調和は心を落ち着かせる。

 コンクリートブロックでは野良犬が池と戯れ、
 柳は春風を涼しげに受け流す。
 柳の根を枕に芝生に寝転がった私は、
 読む気のない文庫本のページを繰りつつ、
 存分な昼寝の海に落ちていった。

 閉門を告げる放送が惰眠の邪魔をする。
 体に掛けていた上着を羽織ると、
 夕景の遊水池に未練を残しつつ、
 身支度をして家路についたのだった。


 こういう休日も、また一興。


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