「雪中椀」
_大根の吸い地椀_


                             
2006.12.07 mixi


 僕は普段、ほとんど料理を作らない。
 毎日毎日、仕事で御飯を作っているので、
 家に帰ってまで料理、となると、どうしても少し萎えてしまう。

 そんな僕が料理を作るとき、
 それは何か面白い構想を練っているときの事が多い。
 次の休暇はなにをしよう、
 次はどこに旅立とう、
 次の雑記はどんなで、ホームページの新コンテンツは、、、
 そんなワクワクが心に押し寄せているとき、僕は鼻歌交じりで、キッチンに立つ。

 とことん考えたいときは、鍋に放り込んで長く煮続けるものが良い、
 鍋の具が煮えてゆく中で、アイデアはやがて濃縮されて一つの味を作る。
 機動力勝負でポンポンと作業を進めたいときは、
 ささっと作れる料理の中に、アイデアを込める要領で思考を整理する。

 休日前夜、
 夜長に付き合った胃袋に優しい吸い物を、
 と、買い置きしておいた大根に手を伸ばした。

 「今日は、丸めてみようか。」
 雪玉のように具材を丸めてみると、
 思いの外、キュートな姿に、僕は一目で惚れてしまった。

 嬉々として具材を丸める僕の頭の中で、
 アイデアが雪玉のようにポンポンと形を成したのは、言うまでもないだろう。
 
     
  
【レシピ】


大根下ろしに大根葉、茗荷のみじん切りを加え、
白だしを吸わせてから固く絞って「おむすび」の形に。

それをポンとお椀に置いて、
飾りの柚子をあしらいまする。

そこに好みの加減で白だしをちょいと張り、
あとは
あっちっちの焙じ茶を、どわーっと注ぐ。だけ。
(写真は焙じ茶を注ぐ前)

真っ白な大根下ろしのおむすびが、
焙じ茶の熱でほとびれ、やわらかく広がります。
熱が加わるので、
大根下ろしの辛みが飛び、
大根の甘味が出たお吸い物になります。

で、ザクザクした食感の大根葉に、
茗荷と柚子の香味が、嬉しい(^_^)

一文字ぐらいの御飯を添えれば、
茶漬け風にもなります。
焙じ茶が強ければあっさり、
白だしが強ければしっかり。
あとはお好みの加減で簡単に味の調整ができます。

単純な夜食なんですが、
おむすびにすると、ちょっと可愛くなるから好きです。

うちには茶碗がないので、
どんぶり仕様になっているのがトホホなのでありますが。
(来客もたいがいガッツリ食べていくので、
 来客用の椀もドンブリ。。。なにかがおかしい。)
本来は小茶碗でサラサラ食べるのが風情があって良いかな、と。

簡単に具を増やしたいときは、
ジャコやカリカリ梅のみじん切りを雪玉に混ぜ込むのも美味い。
煎り胡麻も香ばしいです。

豪華にしたいときは、
おむすびのなか(核)に具を入れればOK。
海老しんじょ、とか、牛肉のそぼろ、とか。
あるいは鯛の昆布締めとか。

吸い地をやめて、餡掛けにすると一品料理になりそう。
あ、それだと大根下ろしがパサつくか、、、
今後の課題にしましょう(^^)

もっとスマートにするなら、
出汁は煮凍り状に固めて雪玉の中に仕込むと良いかも。
今回は自分で食べる分なので、
そこまでしなくていいや〜と、横着しちゃいました。(^^ゞ