「プロポーズ」
_カッサータ・ロマニョーラ_


                             
2006.12.02 mixi


クリスマス付近になると思い出す、一文がある。

『I will love you Always.』

聖夜、
僕の口から放たれたこの言葉を、
本番前に何回、練習したろう。

僕の頬はうっすらと上気して、
瞳はあさっての方角を見ていた。
と、思う。

白いタイツとカボチャパンツ、
頭に紙の王冠をのせた、貧相な王子様。

相手の女の子が
『I will love you always,too.』
と応えると、劇は大団円で終わる。

小さな修道院が主催の、
小さな小さなクリスマスパーティ。
大人の拵えた、大人のための、聖夜劇。

小学生も低学年だった僕らは、
聖夜劇をクリアしないと、
クリスマスケーキにありつくことは出来なかったわけで。

もっと幼い時は、真っ白い衣装
(袖にレースがあしらってあるような)で、
蝋燭を手に聖歌を歌っていたし、
学年が上がると、
劇の内容は地味になり(ベツレヘムの星とか)、
最終的には大道具さんや、
募金箱係などの裏方さんになった。

でも、
僕のクリスマスと言えば、
甘い台詞に、甘いケーキ。

シスターの作るチェリー&チョコレートのケーキは、
アメリカ人特有の、
ドギツイ色とクドイ甘さが特徴的だった。
でも、それがなぜか美味しかった。

僕も両親も特別な信仰はないため、
シスターの帰国を機に、ピッタリと行かなくなってしまいましたが、
今でもクリスマスになると、
この一文が、僕の心のどこかを突き動かすのです。

誰にも言えないですけどね、こんな台詞。(^^)
  
【レシピ】

・カッサータは通常、
 チーズとドライフルーツのアイスケーキなんですが、
 ロマニョーラは、そのアレンジ版。
 卵とバターと砂糖、
 クッキー(サヴォイヤルディ)、ココアパウダー、
 その他はラム酒とヴァニラしか使いません。
 濃厚な甘さの贅沢なアイスケーキです。
 
 しっとりとしたビスケット生地が、濃厚なアイスケーキを包み、
 プンと香るラムの香りがとても貴族趣味なデザート。

・切り分ける前の形がノエル風にも見える。
 ということで、
 僕はクリスマスに、
 よくこのケーキを作って配っています。
 冷蔵庫で1日寝かせるタイムラグがあるので、
 クール宅急便で指定日にお届けできるので、生ケーキより便利だったり(^^)




<材料(縦20cm 横7cm 高6cmのパウンドケーキ型1本分)>

・舌状ビスケット(サヴォイヤルディなど)
 私は「バンビーニ」を使用。(150g)
・無塩バター(200g)
・ダークラム酒(180cc)
・ゆで卵の黄身(10個)
・粉糖(200g)
・バニラ棒(1本)
・ココアパウダー(100g)


<カッサータ・ロマニョーラ>
1:ビスケットは薄く半分にスライスし、ラム酒を染み込ませて金型に張る。
  これがすごく繊細な作業なので、私は半分にスライスせず、そのままラムを染み込ませています。
2:クリーム部分は、裏ごしした卵の黄身に、
  室温で柔らかくした無塩バター、粉糖、バニラ棒から取り出したビーンズを加えて練り合わせる。
  クリームが滑らかになったら、絞り袋に詰めて(1)でビスケットを貼り付けた金型に流し入れる。
3:クリームはできあがりの1/3をあらかじめ別容器にとっておき、
  ココアパウダーを加えてチョコクリームを作る。
4:チョコクリームを絞り袋に入れ、(2)でクリームを入れた一番上に一文字に絞り入れる。
5:金型上部を、ラム酒を染み込ませたビスケットで塞ぎ、余ったラム酒を更に振り掛ける。
6:ラップで密閉して冷蔵庫で1日寝かせてできあがり。