ちょっといいですか?
図書館通信編 
第4回:「書くことと話すこと。読むことと聞くこと。」

近頃図書室で質問を受けることに、
「ストレスなんて無いんじゃないですか?」
なんてものがある。
おそらくはこの連載の影響だろうが、
よほど私が図太い神経を持ち合わせているように思われているらしい。
大問題である。
私はそこまで図太い神経をしているわけではないのだ。

確かに、
ここの文章の読む限りでは、
作家に文句を言ったり百貨店に文句を言ったりと、
確かに好き放題やっているようにも思える。
実生活でもこんな風にズビズバ文句を言っていると思われるのは、
やっぱり心外だ。
なにせ、私の人格に関わる問題だからね。

そう言えば、連載を初めてそろそろ1年経つわけだけれど、
自分の内面について書いたことって、あんまり無い気がする。
なんか毒舌を振り回してばっかりだったような、、、、

でも、私は普段は割合おとなしい方です。
話が下手なもんで、
どうしても引っ込み思案になりがちな私。
嘘だー!あんなに過激な文章を書く癖にー!
って言われることも確かにありますけど、
そもそも書くことと話す事って言うのは全くの別物で、
口下手だからこそ文章でっていう人も多いものなんですよ。

私の場合、何かと自分勝手に喋りがちなので、
相手にとっては「面倒な相手」と思われているに違いありません。
そういう訳で、最近は少し考えながら話を組み立てているんですが、
そうなると考えている間に話がどんどん進んでしまい、
結局は自分の言いたいことが相手に伝わらなかったり、
かえってクドくなってしまったりと、どうもうまくいきません。
話す事というのは本当に難しい。
相手に曲解されてしまうのもしょっちゅうで、
そんなつもりもないのに、
相手を傷つけるようなストレートな表現を使ってしまうことも、
よくある。

となると、
なるべく波風を立てないように自分を抑えるばかりになり、
「顔で笑って心で泣いて」のような状態によく陥る羽目になります。
そんな話し方のために人間関係がこじれることも多く、
わかっているのに直せない、私の一番性質(たち)の悪い癖です。

そのかわり、書くことというのは何度でもやり直しがきく。
後悔しないように、納得のゆくまで手直しが出来るんです。
(締め切り直前ではそんな余裕はないかもしれないけど)
だから私は、
せめて文章だけは納得のゆくまで手直しをして、
ここに掲載させてもらっています。
話すことのように一回で自分のことを伝えることが苦手な人でも、
文章では何とか書ける人は、多いんじゃないかと思いますよ。

話すことは、私にとってストレスの塊。
無愛想にならないように、普通程度には話をしますが、
きっと相手は、私と話をしていてつまんないんじゃないかと思います。

読むことと聞くことも同じ。
読むって言うのは何度も繰り返せるけど、
聞くことは一回だけ。
相手の言いたいことを汲み取るのは本当に難しい。
『話上手は聞き上手』なんて言葉がありますが、
ううむ、どっちも難しいので私にとっては雲の上の話だなと。
しかし、なるべくは自意識を抑えて、
聞き手に回るように努力しています。これも、難しい。
なんだか、みんな難しいみたいですけど、
繰り返し出来ることっていうのは、
時間をかけてやれば絶対に上手くいく。
ということが言いたかったのかな(汗)。

それから、こんな滅茶苦茶な文章を書く私だって、
ごく普通に様々な悩みを抱えていること、
わかって頂けましたでしょうか。(笑)

ちょっと気になったので、
たまには真面目な文章(愚痴?)を書いてみました。
つまんなかったでしょう?

次回からはまた、毒舌に戻ります! おたのしみに!

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<note>
初出:1994.9.16
某大学附属某高校図書室・図書館通信1994年度5号
ちょっといいですか?(第13回A)/(同題)
改行:2003/05/27
   HP遊覧航路
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・HPでは意図的に毒舌系の文章をお蔵入りにしているため、
 ハテナ?と思う方も多いかと思います。
 この当時は色々と周囲に爆弾を投げて生きていた時期なので、
 現某県知事の脱ダム先生の勘違いぶりを槍玉に挙げたり、
 百貨店のサービス対応から行政の道路事情まで、
 ごめんなさい、
 公共の空間では掲載に耐えないことばかりを書き散らしていました。
・そんな関係で、こんな文章を書く羽目になったわけですが、
 現在とはどうもパターンが逆のような気がします。
 現在はどちらかと言えば、日常会話がブラックダァクだらけで、
 素直なのは文章だけ、、、のような感覚です。
・しかし、「文章でしか表現出来ない」という基本姿勢(?)は、
 この頃からさして変わっていないんですね、、、。
 もうそろそろ10年経つっていうのに、、、、。
・また、意外にもこの文章の反響が良かったため、
 その後の方向(内面系)を決めた文章とも、言えます。
 文章を書かせるのは、読者なんだなぁと。つくづく思いました。