ほぼ月間webちょっ?

第11号:2003/06/12

目次
 @でこ
 A焚火の肴


@でこ

 夜遅くパソコンに向かって文章を書いていると、
 ふと、隣のケージから顔を覗かせる視線に出会う。
 まぁるい目をキョトンと開いて、
 じっとこちらを見る鼬(フェレット)。
 名は亙(まひる)という、
 目下溺愛中の、私の愛息子だ。
 
 思わず手を休めて、
 小さな温もりに頬をあてる。
 しなやかな肢体を駆使して甘える亙。
 小さな頭をすり寄せて、小さく口を開ける様を眺めると、
 幸せだなぁと、思う。

 私は昔から、動物のおでこに弱い。
 犬も、猫も、そして、ヒトも。
 安心しきって頭を預けてくるその重みには、
 寄り添う心と、
 こそばゆいけど、愛が、ある。

 膝枕をねだる、犬猫とヒト。
 胸や肩にそっと置かれた、ヒトの頭。
 小さく擦り寄せてくる重みを感じると、
 思わずそっと頭を撫で、
 おでこにキスをしたくなる。
 
 愛おしい、おでこ。
 おでこはなんだか、心に近い気がする。

 腕の中で眠る亙のおでこが、
 私の左胸に小さく擦り寄せられる。
 良い夢をみてるのかな?
 幸せそうに弛む口元をさすり、
 私は愛しい亙のおでこに、
 今日も小さなキスをした。
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

A焚火の肴

 タキビストの夜は、長い。
 パチ・パチと爆ぜる薪(たきぎ)を足し足し、
 四方山話に興じる時、
 酒と肴は、欠かせない。

 肴はシンプルなものが、美味い。
 なるべく手間をかけないで、
 焚火から離れず全てが整うようなものが、いい。
 話をしながら熾火(おきび)で焼く、
 定番のカリカリベーコンや目玉焼き。
 簡単に茹でたアスパラやほうれん草を添えれば、
 これだけで立派な夜食になる。
 小網があれば、餅もいい。
 醤油の焼き目に、思わず小腹が疼く。
 ホイルがあれば、焼きジャガ。
 チューブバターと醤油で、ホクホクを頬張る。
 もしくは切り身魚に香草を少し、
 遠火で焼けば、バター風味のホイル焼き。
 話と共に、酒もすすむ。

 焚火の肴は、匂いが楽しい。
 醤油にバターに、食欲が刺激される。
 ちょっとだけとは思いつつ、
 夜長を食べるタキビストの胃袋も、尽きない。

 グループ内だけに通じるような裏メニューも有り、
 タキビストは各々、幾つかのレパートリーを持つ。
 「アイツが参加するから、今回はアレが喰える!」
 そういう楽しみもまた、
 夜長を一層、魅力的なものにしてくれる要因だ。

 私の裏(?)メニューは【ホットサンド】。
 バウルー(BawLoo)で挟んで焚火で焼くだけの、
 ごく簡単なホットサンドイッチ。
 具はシンプルに、ハムとチーズだけだったり、
 ツナとチーズだったり、トマトとツナだったりと、
 現地の食糧調達事情で応用可。
 表面のカリカリと、中身のトロトロが、絶妙。
 事前にリクエストがあると、
 バウルーを荷物に忍ばせていきます。

 そして私から友人へのリクエストは【衣かつぎ】。
 茹でずに焼くだけの【なんちゃって衣かつぎ】でもいい。
 大地の素朴な味が、焚火と酒と、なんとも言えず良く合う。
 これも火加減に微妙な勘がいる、
 タキビストの熟練技に感激した逸品だ。

 夜の長さを心得た、タキビスト達。
 彼らがさりげなく作る、様々な焚火の肴。
 シンプルだから、いい。
 気負わないから、いい。
 今夜もそんな美味しい肴たちに、
 乾杯!

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


<note>
・「でこ」
 亙と同居を初めて5ヶ月。
 親馬鹿っぷり大全開です。
 相棒日誌は小っ恥ずかしいので断念したものの、
 正直、
 いつ文章にするかは時間の問題だったと思います。
 とうとう出やがったかと、
 そう感じた人も多かったろうと思います(爆)。
 ええ、やっちまいましたとも(笑)。
 これからもどんどん出しますよ、愛息ネタ。
・「焚火の肴」
 キャンプの食事は男の料理。
 経済性度外視で「パパ頑張ったよ」と言わんばかりの
 豪快で豪華な夕食もいいけれど(家族サービス?)、
 内輪のキャンプだったら、
 こういった簡単な料理の方が、味があるような気がする。
 誰か(調理者)が会話から外れないで済む事は、
 何より優先されるべき事柄だと思うんですよね。