ほぼ月間webちょっ?

第4号:2001/10/30

目次
 @Private Bath Time.
 ACandle Light.


@Private Bath Time.

「疲れたなぁ〜。」
仕事を終えて家に帰り、
遅めの食事を摂ってゴロ寝を決め込むと、
ふとした拍子に溜まった疲れが噴出することがある。


本屋の仕事は、割と重労働。
立ちっぱなしのフロア勤務は殊のほか足に堪えるし、
日常的な踏み台昇降運動(今の店舗は棚が天井に届いてるし)に加え、
男手はなにかにつけて力仕事を担当。
重い本の詰まった段ボールを運ぶなど、
見た目以上に体力を使う職場ではあります。
まぁ、まだまだ楽な方だと言われればそれまでだけれど、
仕事以外にも経理や大学と掛け持ちの生活を続けていると、
やっぱりどうしても、溜め込んでしまう疲れというのがある。
20代を折り返した「若い」とは言えない身となれば、
疲れを表面に出さないだけでも、一苦労といえる。


そんな私が、
独り暮らしを機に始めたストレス解消法がある。
表題でも解るとおり、その方法は【風呂】。
無理無駄の多い独り暮らし生活の中でも、
水もガスも桁が違う消費を誇る無駄食い随一の風呂を、
私は愛してやまない。


もともと実家にいるときから風呂が好きで、
何かにつけて風呂に浸かってボケッと考え事をしていたんだけれど、
実家は5人家族、
風呂ともなればそうそう長湯を決め込むこともできず、
十分に体を揉みほぐせないまま、出る必要があった。
しかも循環浄水式・湧かし機能付きの風呂釜だったため、
便利ではあっても、使える湯花が限られていた。


今は狭い和式ユニットバス(狭く深いタイプ)で、
窮屈で足は伸ばせないし、湯加減や燃費も悪いけど、
好きなだけ浸かれる上に、好きなバスオイルを使えるから、
毎日朝と晩、しっかり長湯を楽しんでいる。
更に休日ともなれば、
半日近くでも風呂場にいるときもある。
扉を開け放ってジャズでも聴きながら、
側に冷たい紅茶を、グラスポットにたっぷり入れて、
雑文を頭で紡ぎながら、
のんびりとした午後を過ごしてみる。
それがなかなか楽しい。


「不経済だなぁ」
などと良く言われる。
でも、これは自分の体へのごほうび。
頑張った体を少しでも元気づけたいなと思ったら、
安い趣味(?)だと思いませんか?


最近は自宅の風呂だけでは飽きたらず、
近くの銭湯や温泉にもしょっちゅう出掛けては、
ひたすら体をほぐしてホコホコになってくる。
やっぱり、広いお風呂で足を伸ばせるのは気持ちがいいし、
温泉ともなれば、体の張り艶も格別。
そんなシアワセを、どうやったって、手放せない。


どうしてなんだろうね。
なんでお湯や水に浸かっているだけで、気持ちがいいんだろう。
子供の頃からなんだけど、
プールではスポーツとして【泳ぐ】というよりも、
私は潜ってゆらゆらと水の感覚を楽しむ方が好き。
それで出入り禁止になったプールもあるぐらいで、、、
(なんで普通のプールは潜水が禁止なんだろうねぇ)


海もそう。
泳ぐっていうんじゃなくて、
ただプカプカと浮かんでみるのが好き。
沖に流されない程度に泳ぎながら
潮風と波のさざめきを聞く。
そしてクルッと体を翻して、
スウッと水中深くへ滑り込む。
水面で乱反射する日の光が上に下に回転し、
方向感覚が狂うぐらいに潜る。
地に着かない空間で自由に泳ぐ楽しさ、
たまらないです。

温泉もそうで(特に露天風呂では)、
人が誰も居なくなると、
私は力を抜いて温泉にプカプカ浮かんでみる。
顔だけポッカリと水の上に出して、耳はお湯の中。
自分の鼓動と水の跳ねる音がさらさらと気持ちよくて、
昼間は流れゆく雲が、夜は月星がお湯に滲んでぼんやり見える。
冬は特に、温かいお湯と空気の冷たさのギャップ、
それに、
お湯の独特の浮遊感と、
溶けてゆくような開放感と脱力感が相まって、
気が付くとまた、のぼせる程の長湯をしてしまう。
そんな関係で、
私は夕刻から夜の人の居ない時間を見計らって露天風呂に入る。
そして、
泊まりの場合は深夜に独りで抜け出して風呂を楽しみ、
一人旅の時は、
あらかじめタクシーや優等特急を予約しておいて、
眠りながら家路につく。
それが私の、結構な贅沢。


自宅のお風呂も、
毎日同じ湯花じゃつまらない。
雑貨屋に出掛けては、
色々なバスオイルを買い込んできて、
常時10種類近く、その日の気分で使い分けています。
最近は、本当に色々な湯花が出ていますね。
名称も様々、
オイル・エッセンス・カプセル・タブレット・パウダー
クリスタル・ビーズ・スクエア・ボール・ジェリー
コロン・リキッド・バブル・フローティングフラワー
ソルト・キャンディー・キューブ・ミルクなどなど、、、
それらは風呂脇のバスケットに放り込んであり、
見てるだけでも「どれにしようかな?」と楽しくなります。


香りも様々、
リフレッシュには大好きなオレンジや檸檬・ライムなどの柑橘系。
とろけるような眠りにつきたいときはミルクや海草・赤ワインのしっとり系。
朝は目覚まし兼ボディーソープという実益を兼ねたバブルバス、
それもキゥイやピーチ・レモングラスやグレープフルーツなど、
香りもサッパリで気持ちのいいフルーツの目覚めが最高。
暑い日にはミントやオーシャンブレンドのエッセンシャルオイル、
気分によってはオリエンタルなココナッツや、
和風の桜・竹・檜・金木犀・水なんていうキューブもある。


今、興味を持っているのはフローティングキャンドル。
それから、ボール型の浮かぶバスライトもあるみたいですね。
夜に入るときに、
電気を消して優しい灯りで風呂にはいるっていうのも、
なんだか楽しそうです。


そんな私の楽しみを知っている友人の何人かは、
誕生日や旅行のお土産で、
色々なバスオイルを贈ってくれます。
嬉しくて、家で早速試してみたりして。
疲れが飛んでいくのを感じる瞬間ですね。


たった1畳のプライベート・スペース。
トイレが一緒なので、
清潔に保つのは面倒な作業だけれど、
バスタイムの邪魔になる芳香剤を置かないで、
頑張ってプライベート・タイムを演出。
そんな健気な努力をしながら、
精一杯に洒落た雰囲気を楽しもうとするアパート暮らし。
「馬鹿だよなぁ」と思いつつも、
「今日も一日お疲れさま」と、
あったかいお湯に浸かりながら明日を夢見る私でありました。


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ACandle Light.
 
日常的にぼんやりとした考え事と向かい合う私にとって、
「あかり」というものの持つ意味は大きい。
年がら年中パソコンのディスプレイに向かっていると、
蛍光灯やブラウン管の刺すような光が目を毒すように思うことがある。
それは、いくら昼光色に変えたところで大差はなく、
手元作業用のスタンドランプ(電球用)を改造して間接照明にしてみたり、
植物用昼光や暖色10ワットなどの試行錯誤を繰り返しながら、
現在はキャンドルランプの穏やかな光に落ち着きつつある。


穏やかな文章を書きたいとき、
手元にはモザイクガラスを埋め込んだキャンドルグラスを用意する。
オレンジやライムグリーンのガラスから洩れる穏やかな光、
ディスプレイの光量を半分以下に落として、文章を練る。
なかなかあんばいが良い。


絵を描くときや作業をするときは、
蛍光灯の下で作業をする。
でも、少し離れた場所でキャンドルを点け、
その香りを楽しむこともある。


つい最近まで、
香料を練り込んだアロマ・キャンドルの臭いは強烈な物ばかりだった。
これでもかと言わんばかりに鼻につく香りに嫌気がさし、
アロマポット専用の無香料キャンドルばかりを使っていたが、
最近出回っているキャンドルは、なかなか香りが良い物が増えてきた。
フルーツ系もそれほど嫌みはなくなり、
来客時は臭い消しに使ったり、割とよく利用している。
一時期はポットとエッセンシャルオイルを使っていて、
手軽なキャンドルはほとんど邪道視していたのだけれど、
毎日にように楽しむようになると、
それなりに手軽なキャンドルの良さも
大きな魅力に思えるようになった。
それにはやはり、
香料の多様化と質の向上が大きな理由となっていて、
雑貨屋を回って自分の好みを見つけることも、
大きな楽しみの一つとなった。


今日はメロンソーダ、明日はブルーベリー、
オーシャンブルーやクリニークのHAPPYだって、
キャンドルにある。
ほんの小さなことだけれど、
そんな細かいことが、楽しかったりするんですよね。


これまた、和室に似つかわしくない、
そして、男の趣味とは思えないことかもしれない。
でも、
でもね。
恥ずかしいけど、それでもいいかなと思う。


そうして、
やっぱりぼんやりとした考え事と向き合いながら、
「HAPPY?」
という問いかけに
いつでも「YES」と答えていたいなと思う、
そんな秋の夜でした。



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<note>
・いつもの「ちょっといいですか?」と毛色が違うのは、
 趣味人(スプーキー)用の文章として、
 通勤途中ザウルスの中に書きためていた文章の一部だからです。
 趣味人は、自分の中ではかなり難しい文章でして、
 それなりのこだわりというか美学がないと、
 掲載しないようにしてるんです。
・そんな関係で、中途半端に放り出された文章が多く、
 その中でもこの2編は、
 余りにも趣味の傾向が強すぎて、
 どうしようかと思案に暮れていました。
・手直しをして大幅に書き込んでみたけれど、
 やっぱりなんだか消化不良。
 これじゃあ、ただのキザ男じゃん。(爆)
・まぁ、でも事実の感想だからしょうがないんだけど、
 こんな生活もアリかな? と思います。
 バスオイルもアロマキャンドルも、
 職場で話すと「女っぽいなぁ」と言われる。(女性にも)
 そーゆー問題じゃないだろう。とは思うんだけど、
 世間ではやっぱり、そんなもんなんでしょうね。
 地道に布教活動をしていきますわ。(笑)